トトロが傘を返さないのは借りパク?サツキとの対比から読み解く本当の理由

映画となりのトトロの中でも、雨のバス停でサツキとメイがトトロと出会うシーンは印象的で心温まる名場面です。
雨に濡れるトトロを見かねて、サツキはお父さんの黒い傘を貸してあげます。
しかし、物語の最後までトトロがその傘を返しに来ることはありませんでした。
なぜトトロは傘を返してくれないのか?
確かに人間の常識からすると借りたものを返さない状態ですが、実はこのシーンには、深いメッセージが隠されています。
本記事では、サツキの行動との対比や、トトロの視点から見た傘の意味、そしてお礼のどんぐりに込められた意味を紐解き、なぜトトロが傘を返さなかったのかを徹底考察していきます。
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サツキとトトロの対比|律儀に傘を返す人間と返さない精霊

トトロが傘を返さない理由を深く読み解くためには、その直前のシーンが実は重要です。
大雨が降ってきた下校時、雨宿りをするサツキとメイに、同級生のカンタが自分の傘を無言で押し付けて走り去る場面があります。
その後、サツキはカンタの家を訪ねて、借りた傘を律儀に返却し、しっかりとお礼を伝えています。
このエピソードは、険悪だったカンタとサツキの仲が近くなるという意味や、カンタの気持ちが分かるという物語の中でも大事なところですが、実は裏ではトトロとサツキの傘の扱いに繋がる対比の話となっています。
借りたものは返すという人間社会の真っ当なルール、人間味のあるコミュニケーションが描かれています。
この傘を律儀に返すサツキの姿が直前に丁寧に描かれているからこそ、その後に続く傘を返さないトトロの存在感がより際立つのです。
人間社会のルールと、トトロの精霊(異界)のルールは違います。
傘の貸し借りという行動を用いて、人間界と自然界の価値観の違いを対比として演出していると解釈できます。
サツキは、その両方の世界を柔軟に行き来できる無垢な女の子として表現されています。
トトロに借りるという概念はない?

では、なぜトトロは傘を返さなかったのでしょうか。
一番の理由は、そもそもトトロの住む自然界には所有や貸し借りという人間の概念が存在しないからでしょう。
トトロにとって、サツキから渡された傘は、雨をしのぐための便利な道具ではありませんでした。
初めて傘を手にしたトトロは、傘の表面に雨粒が当たって鳴る「パラパラ」「ポツポツ」という音に大変驚き、そして大喜びします。
嬉しくなったトトロは大ジャンプをして、木に溜まっていた雨水を一気に落とし、傘から鳴る大きな音を全身で楽しんでいました。
つまり、トトロにとってあの黒い傘は、雨具ではなく素敵な音が鳴る楽器だったのです。
人間の常識である借りるという感覚はなく、純粋に新しい遊び道具との出会いを楽しんでいたと考えるのが自然です。
どんぐりの包みによる純粋なブツブツ交換

貸し借りの概念がないとはいえ、トトロは決して一方的に傘を奪った(借りパクした)わけではありません。
素晴らしい楽器をくれたサツキに対して、トトロは自分にとっての一番の宝物であるどんぐりの包みをプレゼントしています。
笹の葉で丁寧に包まれ、竜の髭で結ばれたどんぐりは、森の精霊であるトトロからの最大級の感謝のしるしのはずです。
これは人間社会の「契約」や「義理」に基づく貸し借りではなく、純粋な喜びを通じたブツブツ交換(等価交換)の儀式だったと考えられます。
トトロの認識の中では、素敵な楽器をもらったから、代わりにお礼の品をあげたということで取引は美しく完了しているのです。
その後の登場シーンでも、トトロは自分のお気に入りの持ち物として、サツキにもらった傘(お父さんの傘)を大事そうに使い続けています。
決して悪意のある借りパクではなく、種族を超えたピュアな心の交流の結果として、お父さんの傘はトトロの宝物になったのでした。
まとめ
トトロが傘を返さなかった理由は、決して借りパクではなく、人間界と自然界の価値観の違いです。
カンタの傘を律儀に返すサツキの描写があることで、所有や貸し借りという概念を持たず、純粋なブツブツ交換で感謝を伝えるトトロの異質さや純真さがより一層強調されています。
傘を雨具ではなく楽器として捉え、どんぐりという自然の恵みでお返しをする姿は、まさに精霊そのものです。
何気ない傘というアイテムを通して、人間社会の温かさと、自然界の神秘的なルールの両方を対比させて描く演出の深さには、改めて驚かされます。
次に作品を見る時は、ぜひこの傘の貸し借りの対比に注目してみてください。
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