クレヨンしんちゃんの映画「オトナ帝国の逆襲」の見どころ解説です。
あらすじ
春日部に新設された二十世紀博に夢中の大人たち。
しんのすけらは、大人が懐かしい気持ちになるという感覚が理解できないでいるが、大人たちの異様な熱中ぶりに違和感を覚えていた。
ある日、大人たちが一斉に春日部の町から姿を消してしまい、町には子供たちだけになってしまう。
影では二十一世紀を嫌う組織が、オトナ帝国化を計画しており、大人たちを洗脳していたのだった。
しんのすけたちは、力を合わせて両親の救出をすることになる。
ホラー要素
初期のクレしん映画には、ホラー要素が含まれる作品が多い。
オトナ帝国の逆襲でも、ホラー要素は強めで、大人たちが幼稚化していく様は恐怖そのもので、子供の頃に見ていて恐ろしく感じるトラウマシーンでもある。
中でも、しんのすけのおやつを朝食で食べてしまう両親、とくにヒロシがチョコビを一気食いするシーンはこの映画の個人的なトラウマ1位でもある。
感動要素
ホラーだけでなく、感動する場面もしっかりと用意してあるのが、この映画の素晴らしい点でもある。
正気を取り戻すため、自らの靴の匂いをかがされるヒロシだが、このときにヒロシの脳内ではこれまでの人生が走馬灯のように流れるのであった。
単純な家族な絆というだけではなく、大人になるにつれ失っていく感情への切なさなど、この場面は大人になってから見返すと刺さるものがある。
懐古厨にこそ見て欲しい映画
二十世紀博に熱中する大人たちの姿を見た風間くんが「いくら子供の頃が懐かしいからといって、あのハマり方は普通じゃないよ。懐かしいってそんなに良いものなのかな?」というセリフがあるが、今の時代にファミコンやらトレカやらの昔懐かしい物集める人をユーチューブで見ると、このセリフを思い出す。
限度ってものがあるだろと。
作中では、洗脳装置によってやられてしまっていたわけだが、今現在のネットには懐かしいに洗脳されてしまっている大人が多く存在していることがわかる。
まとめ
「懐古」「懐かしむ」ということの良さと同時に、いつかは誰しも大人になってしまう切なさ、失われていく古き良き文化など、年を取るほど感じるノスタルジーがこの映画にはある。
遊戯王の初期カードや、ポケモンの旧裏なんかを高い金を出して集めたくなってきたら、一度オトナ帝国の逆襲を見るのが良いかもしれない。
天邪鬼ではないが、なんか旧に懐古することが馬鹿らしいというか、今の時代を生きるほうが楽しめるのでは?という気持ちになってくる。
そういう意味でも、平成や昭和をこじらせて生きているすべての懐古厨、とくに子供の頃にこの映画を見ていた平成初期、昭和末期生まれ世代(今の30代~40代前半くらい)にはおすすめの一作といえるだろう。